この章では、FakeTag バージョン 1.3.0 で対応した「同期/ローカル・フォルダーの分離」について説明します。
6.1 同期/ローカル・フォルダーの分離とは?
今まで、ブックマーク・フォルダー(以下、「フォルダー」と呼びます)階層の最上位には(Google アカウントを使ってブラウザーにログインしているかどうかに関わらず)常に「ブックマーク バー」と「その他のブックマーク」という2つのフォルダーがありました。
"F" はフォルダーを、"B" はブックマークを表す。 ┣ [F: "ブックマーク バー"] ┃ ┗ [B] ┗ [F: "その他のブックマーク"] ┣ [B] ┗ [F] ┗ [B]
それが今後、(1) 自動同期によってデバイス間で共有されるブックマークのためのフォルダー(以下、「同期フォルダー」と呼びます)と、(2) 特定のデバイスのみに保存されるブックマークのためのフォルダー(以下、「ローカル・フォルダー」と呼びます)の2系統に分かれ、場合によっては、フォルダー階層の最上位に (1.a) 同期する「ブックマーク バー」、(1.b) 同期する「その他のブックマーク」、(2.a) 同期しない「ブックマーク バー」、(2.b) 同期しない「その他のブックマーク」の4つのフォルダーが存在することになります。
次節以降、具体例を示しますが、いずれの場合も、表示されていないフォルダーの下位にあるフォルダーやブックマークにはアクセスできません。
6.1.1 ログインしていない場合
ブラウザーにログインしていない場合、ローカル・フォルダーのみが表示されます。ローカル・フォルダーの下位にあるフォルダーやブックマークは特定のデバイスのみに保存されます。
┣ [F: "ブックマーク バー(ローカル)"] ┃ ┗ [B] ┗ [F: "その他のブックマーク(ローカル)"] ┣ [B] ┗ [F] ┗ [B]
6.1.2 ログインしている場合
ブラウザーにログインしている場合の最上位フォルダーの状態は、ローカル・フォルダーが空であるどうかによって2つに分かれます。
6.1.2.1 ローカル・フォルダーが空の場合
ログインしていて、かつローカル・フォルダーが空の場合、同期フォルダーのみが表示されます。同期フォルダーの下位にあるフォルダーやブックマークは自動同期され、他のデバイスからも利用できます。
┣ [F: "ブックマーク バー(同期)"] ┃ ┣ [B] ┃ ┗ [B] ┗ [F: "その他のブックマーク(同期)"] ┣ [F] ┃ ┗ [B] ┗ [B]
6.1.2.2 ローカル・フォルダーが空でない場合
ログインしていて、かつローカル・フォルダーが空でない場合、同期フォルダーとローカル・フォルダーの両方が表示されます。
┣ [F: "ブックマーク バー(ローカル)"] ┃ ┗ [B] ┣ [F: "その他のブックマーク(ローカル)"] ┃ ┣ [B] ┃ ┗ [F] ┃ ┗ [B] ┣ [F: "ブックマーク バー(同期)"] ┃ ┣ [B] ┃ ┗ [B] ┗ [F: "その他のブックマーク(同期)"] ┣ [F] ┃ ┗ [B] ┗ [B]
なお、同期される「ブックマーク バー」フォルダーと同期されない「ブックマーク バー」フォルダーの両方に下位要素(フォルダーやブックマーク)があっても、アドレス・バーの下に描画されるブックマーク・バーは1つだけなので、その場合、両方の下位要素が1つのブックマーク・バーの中に併存することになります。「その他のブックマーク」フォルダーについても同様です。
また、同期フォルダーとローカル・フォルダーの両方が表示されているときにローカル・フォルダーを空にすると、ローカル・フォルダーが非表示になり、6.1.2.1 節の状態になります。
6.2 FakeTag に与える影響
この節では、「同期/ローカル・フォルダーの分離」が FakeTag に与える影響について説明します。
6.2.1 タグに対する影響
第1章で説明したように、FakeTag は同じ URL を指す複数のブックマークを1つの「複合ブックマーク」として扱うことによりタグ付け機能を実現しています。
※同じ URL を指す2つのブックマーク ┣ [F1: "ニュース"] ┃ ┗ [B1: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ┗ [F2: "イギリス"] ┗ [B2: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ※フォルダーをタグとして見ると、 [B1/B2: "BBC"] ~ [F1: "ニュース"][F2: "イギリス"]
「同期/ローカル・フォルダーの分離」が導入されると、特定の条件下で、ブラウザーにログインしているかどうかによって、ある URL と関連づけられたタグの数が異なって見えるということが起こります。次の例を見てください。
※ログイン中 ┣ [F: "ブックマーク バー(同期)"] ┣ [F: "その他のブックマーク(同期)"] ┃ ┗ [F3: "ニュース"] ┃ ┗ [B1: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ┣ [F: "ブックマーク バー(ローカル)"] ┗ [F: "その他のブックマーク(ローカル)"] ┗ [F4: "イギリス"] ┗ [B2: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ※フォルダーをタグとして見ると、 [B1/B2: "BBC"] ~ [F3: "ニュース"][F4: "イギリス"]
上の例では、https://www.bbc.com/ という URL に対して「ニュース」、「イギリス」という2つのタグが付けられていますが、「ニュース」タグ(=フォルダー)は同期フォルダーの、「イギリス」タグはローカル・フォルダーの下位タグです。
この状態からログアウトすると、ユーザーも FakeTag も同期フォルダー及びその下位要素にアクセスできなくなるので、https://www.bbc.com/ という URL と関連づけられたタグは「イギリス」だけになります(再度ログインすれば元の状態に戻ります)。
※ログアウト中 ┣ [F: "ブックマーク バー(ローカル)"] ┗ [F: "その他のブックマーク(ローカル)"] ┗ [F4: "イギリス"] ┗ [B2: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ※フォルダーをタグとして見ると、 [B1: "BBC"] ~ [F4: "イギリス"]
このようなことが複数の URL に対して同時に起こると混乱を招くので、ブックマーク管理ページの使用中にログイン(ログアウト)を検知した場合、ブックマーク管理ページは自動的に再読み込みされます。
6.2.2 「使用されていないメモ」に対する影響
第5章で説明したように、「使用されていないメモ」とは、ブックマークに参照されていない URL と関連づけられたメモのことです。
同期フォルダーの下位にあるブックマークにのみ参照されている URL と関連づけられたメモは、ログインしていないとき「使用されていないメモ」と認識されてしまうので注意が必要です。
※ログイン中 ┣ [F: "ブックマーク バー(同期)"] ┗ [F: "その他のブックマーク(同期)"] ┗ [F3: "ニュース"] ┗ [B1: "BBC"] (=> https://www.bbc.com/) ※フォルダーをタグとして見ると、 [B1: "BBC"] ~ [F3: "ニュース"] ※保存されたメモ https://www.bbc.com/ => "あとで読む"
※ログアウト中 ┣ [F: "ブックマーク バー(ローカル)"] ┗ [F: "その他のブックマーク(ローカル)"] ※保存されたメモ https://www.bbc.com/ => "あとで読む"
また、オプション・ページの使用中にログイン(ログアウト)を検知した場合、オプション・ページは自動的に再読み込みされます。